こんにゃくで接着剤(こんにゃく糊)
第二次大戦中のアメリカ本土爆撃兵器”風船爆弾”の気球部分の接着にこんにゃく糊が使われましたが、こんにゃく糊について更に詳しく京都府S様から教えて頂きました。
こんにゃく糊の製造法
和漢三才図会 紙衣より
『蒟蒻根を用いて洗浄煮熟し、稈(しべ)芯を刺し易く徹るを度と為して
冷し定む。皮を剥き去り之れを擂りて糊と成し』
寺島良安著 島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳訳 『東洋文庫462 和漢三才図会5』
平凡社 1986年
工農業事見聞録 染房之部より
『蒟蒻玉の糊拵様の事。蒟蒻玉を能烹て皮を削り去り、擂鉢に入能すり、
粒なき様に急に擂立、右コンニヤクの煮たる汁サメン内二、少宛擂鉢へ
入て能々擂事なり。少宛ノバシて粒二なき様二好き糊に仕立べし』
清水隆之著 『日本農業全集48 特産4 工農業事見聞録 巻1〜巻4』
社団法人 農山漁村文化協会 1998年
『工農業事見聞録』を主体として総合すると、江戸期のこんにゃく糊は
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こんにゃく芋をよく洗う。
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こんにゃく芋を丸のまま、芯にすっと串が(串は勝手な推測です)通るくらいま
でよく煮る。
- 熱いうちに皮を剥く。(このとき『和漢』によると冷ましてからだが…?)
- すり鉢に入れてよくすり、粒のないように激しくすりたてる。
- 芋を煮たときの汁が冷めないうちに、すり鉢に少しずつ入れて、尚よくする。
この作業によって糊を粒のないように少しづつのばしていく。
という感じで作られていたようです。
現在のこんにゃく糊は
『こんにゃく糊は、こんにゃくの球茎を乾燥して粉末にしたものを水で溶いたものである。夏は水、冬は微温湯でかき混ぜながら溶かす』
以下は『和紙の手帳2』より抜粋。
『冷水10リットルに、こんにゃく粉、50から60グラムを、ままこにならぬよう攪拌しながら添加する。5から10分ごとに攪拌を続けると、こんにゃくの粒子が完全に溶解して透明な糊になる』とのことです。
全国手すき和紙連合会 『和紙の手帳2』 (株)わがみ堂 1998年
現代においてはこんにゃく芋そのものではなく、こんにゃく粉をつかって
糊を作ります。
製茶の工程や建築塗料としてもつかわれているようです。
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